2020年、GoogleはChromeにおけるサードパーティーCookieを廃止する予定だと公表しました。
ここでは、なぜGoogleはCookieの廃止を行なったのか、Cookieとは何なのかといった点について詳しく見ていきましょう。
Contents
サードパーティーCookieが廃止された理由とは
Cookieとは何なのか、またサードパーティーCookieが廃止された理由についてさっそく見ていきます。
Cookieとは
Cookieといえば、サイトを閲覧しているときに「Cookieを許可しますか?」という表示で見かける文字でしょう。
CMP(同意管理プラットフォーム)と呼ばれる表示であり、個人情報保護のためにCookieによる追跡をブロックするか許可するかをユーザーが選べるようになっています。
個人情報保護の厳格化に伴い、GoogleもサードパーティーCookieのサポートを廃止すると発表しました。
Cookieとは、一時的にブラウザに保存されるユーザーの履歴データのことを指します。
再度同じサイトを訪れたとき、IDなどを入力せずにログインできたり、買い物かごに入れておいたものが後日そのまま買い物かごに残っているといった状況を体験したことのある人もいるでしょう。
これは、Cookieによって履歴が保存されているために生じています。
Cookieは、ただユーザーにとって便利な機能というだけではありません。
広告の運用を行なう企業にとっては、ユーザーの行動を追跡することやデータの収集などをCookieによって行なうことができるのです。
どのような経路でサイトへ訪れたのか、どのページを閲覧して商品を購入したかなどを明らかにすることで、それに合わせた広告の配信を行なうことができるという仕組みです。
Cookieの種類について
Cookieの主な役割や機能は上記の通りですが、いくつか種類があるため確認しておきましょう。
Cookieは、大きく3種類に分けることができます。
ファーストパーティーCookie
ファーストパーティーCookieとは、自社サイトのドメイン内で発行されたCookieです。
サイトを運営する会社は、自サイト内でユーザーの行動をトラッキングすることができます。
セカンドパーティーCookie
ファーストパーティーCookieの次に、セカンドパーティーCookieと呼ばれるものもあります。
自サイトではなく他社サイトのドメイン内で発行されたCookieです。
自社のファーストパーティーCookieをセカンドパーティーデータとして企業間取引に役立てることができるという点から、導入を開始する企業が増えています。
サードパーティーCookie
最後に、今回取り上げているサードパーティーCookieについて解説します。
サードパーティーCookieは自社サイト以外のサイト運営者のドメインに発行されたCookieです。
ユーザーが自社サイトを離れた後、他のサイトをいくつかまたいだ場合のトラッキングが可能です。
インターネットを閲覧しているとき、以前に買い物かごに入れたことのある商品が、関連性のない別のサイトを見ているときに表示されるといった現象は、サードパーティーCookieを利用していると考えられます。
サードパーティーCookieは、広告の効果を測定したりアフィリエイトなどのときに活用することができます。
サードパーティーCookieがマーケティングに与える影響
サードパーティーCookieが廃止されることにより、マーケティングにどのような影響が及ぶのか見ていきましょう。
広告の配信を行なうときにCookieを利用できなくなる
サードパーティーCookieは、ユーザーが閲覧したジャンルに合った広告を表示する配信方法が可能でしたが、今後この機能が使えなくなります。
広告を出稿する会社がユーザーの性別や年齢などに応じて属性ユーザーに向けた広告を配信できていた点も、サードパーティーCookieの廃止により利用ができなくなります。
コンバージョンの計測が難しくなる恐れがある
サードパーティーCookieでは、広告から特定のページにどれぐらいユーザーが流入しているかというコンバージョンを計測することができます。
しかし、サードパーティーCookieの廃止に伴い、コンバージョンの計測が難しくなるのでは・・・ということが懸念されています。
しかし、コンバージョンの計測は、ファーストパーティーCookieでも計測が可能です。
また、現在GoogleがCookieを使わずにコンバージョンを計測する方法も開発中です。
よって、コンバージョン計測に関してはCookieを使わずとも、他の方法で引き続き調べることができます。
アフィリエイトには影響があるのか?
Chromeが公表したサードパーティーCookieの廃止は、アフィリエイトサイトの運営自体には直接影響はないといえます。
アフィリエイトの効果は、ユーザーにクリックしてもらうことで発生します。
サードパーティーCookieはそのクリックの際に使われていないため、アフィリエイトサイトには直接影響がないといえるのです。
GoogleはCookieの代替技術も開発中
Cookieを使わない代わりに、Googleが代替技術を開発していると先述しました。
その技術が、FLoC(フロック)と呼ばれるものです。
ユーザーを興味や関心を同じくする集団に属するものとみなし、嗜好ベースの広告を有効にするといった内容となっています。
Googleの報告では、サードパーティーCookieとほとんど替わることなく、広告の成果をあげられると公表しています。
しかしFLoCでは、ユーザーを特定できてしまう可能性があると問題視されるようになりました。
そこで、GoogleはFLoCの開発を中止して、2022年現在FLoCに代わりTopics APIという技術のテストを開始すると宣言しました。
Topics APIでは個人の追跡をすることなく広告を表示でき、ユーザーが関心を持ちそうな話題を推定して広告の選定に役立てることができます。
Chromeが毎週5つの話題を選定し、その一部を企業が広告を選ぶ際に活用できるようにするという仕組みです。
Googleによって選定された話題は3週間保存され、その期間内にユーザー自身が確認したり、情報を削除することが可能となっています。
サードパーティーCookieの廃止に伴い対応すべきこと
サードパーティーCookieの廃止に伴い、どのように対応すべきかを知り、検討することが大切です。
以下に、対応すべき点についてまとめました。
ツールベンダー
ツールベンダーと呼ばれる、広告の効果を測定するツールを開発している企業があります。
ツールベンダーではサードパーティーCookieの廃止に伴うなどの規制の対象にならないよう、正確に効果を測定する方法について開発を重ねています。
サードパーティーCookieの廃止により広告効果について再度見直しを行なう場合は、ツールベンダーを利用するといいでしょう。
広告主
広告主側が、Cookieの規制に対して直接対応をするのは難しいです。
Cookieの規制により、これまで期待できていた広告の配信や効果測定ができなくなる可能性が出てきます。
このような流れから、広告主としてはCookieの規制に引っかからないようなツールを導入するなどの対策が必要となります。
Cookie規制の際にスムーズに対応できるよう、広告主は定期的に広告代理店などと連絡を取り、効果を測定する方法について話し合う場を設けると安心でしょう。
Googleは、サードパーティーCookieの廃止を発表しました。
しかし、Googleは広告と密接にかかわっているという点から、ただ廃止するのではなく代わりの機能を整える可能性が高いです。
実際に、サードパーティーCookieと同じような機能を持つプライバシーサンドボックスと呼ばれる、プライバシー保護にも重点を置いたツールを開発しています。
プライバシーサンドボックスが機能するまでには、独占禁止法に抵触していないかといった点を重視されるため代替案を検討しておくことも必要でしょう。
サードパーティーCookieの廃止による影響を把握して自社に合った施策を検討しよう
サードパーティーCookieの廃止が発表されたことにより、Cookieについて見直しをする企業が増えてきました。
Cookieの機能・役割を理解したうえで、広告についてどのように対応をするのか、企業ごとに体制を整え直す必要が出てきます。
ウェブマーケティングにおいても、サードパーティーCookieの廃止により少なからず影響を受ける会社があることでしょう。
Cookieの仕組みを知り、廃止により起こり得る影響について理解を深めることが大切といえます。