サイトやホームページづくり、SEO対策などを行なう上で耳にすることがある言葉のひとつにキーワードカニバリゼーションがあります。
カニバリと略称されることもありますが、直訳しても意味がよく理解できないと感じる人がいることでしょう。
実はキーワードカニバリゼーションはSEOに大きな影響を与える現象となっています。
今回は、キーワードカニバリゼーションとは何なのか、SEOにどのような影響を与えるのかといった点から、見つけ方と対処法について詳しく解説します。
Contents
キーワードカニバリゼーション(カニバリ)とは?
キーワードカニバリゼーション(カニバリ)とは、直訳するとキーワード同士の共食いになります。
自サイトにある複数のページが、同じ検索キーワードや検索意図に対して競合している状態を指します。
カニバリが発生すると、被リンクやコンバージョンなど各種の指標が分割されてしまうことからSEOの効果が薄れてしまいます。
キーワードカニバリゼーションは何が原因で起きるのか、またSEOにどのような影響を与えるのか、次から詳しく解説します。
キーワードカニバリゼーションを引き起こす原因
キーワードカニバリゼーションが起きることで、自サイトにあるコンテンツ同士が様々な影響を受けるようになります。
では、なぜキーワードカニバリゼーションが起きるのでしょうか?その原因についてみてみましょう。
ページの中に同一または似た対策キーワードが使われている
キーワードカニバリゼーションが起きているとき、ページ内に同一または似通った対策キーワードが使用されている場合があります。
たとえば、以下のような箇所において対策キーワードが重複していることがあります。
- タイトル
- 見出し
- メタディスクリプション
- 内部リンクのアンカーテキスト
- 画像のaltタグ
同じサイト内にあるコンテンツにおいて、タイトルに似たような対策キーワードが含まれている、見出しに頻繁に同じキーワードが登場しているなどの場合、キーワードカニバリゼーションが起こっています。
上記の部分だけでなく、ヘッダーやサイドバーなどの箇所でも対策キーワードを頻繁に使用することでカニバリゼーションが起こることがあるので注意が必要です。
同サイト内のコンテンツが似ている
自サイトの中に、似たようなコンテンツが存在している、またはユーザーの検索意図が一致するコンテンツがある場合もカニバリゼーションが起こる可能性があります。
タイトルや見出しを見る限りでは違う言葉を使っていたとしても、ユーザーの悩みや検索意図に対する答えは同じという場合には、コンテンツの見直しを行なう必要があります。
URLの中に日本語の対策キーワードを含んでいる
URLの中に日本語の対策キーワードが含まれているときもキーワードカニバリゼーションが起こりやすいです。
文面や使う言葉を変えたとしても、同じような意味合いのキーワードが含まれていることになるため、カニバリゼーションが発生します。
そのため、URLを作成するときは英単語を使用するのが望ましいです。
SEO対策においても、URLに英単語を使用することが推奨されています。
キーワードカニバリゼーションがSEOに与えるデメリット
キーワードカニバリゼーションが発生すると、SEOの評価が分散されることになります。
本来あったはずのSEO評価が、Googleに正当に評価してもらえなくなるのです。
ユーザーがキーワードで検索をしたときに自サイトのページが複数表示されている状態は、検索エンジンにとってどのページを表示させるべきか混乱を与えることになります。
同じサイト内でSEO評価を競い合っている状態になり、これでは他の競合サイトに順位が抜かれる可能性が出てきます。
SEOの評価が分散されてしまう具体的な要因としては以下のような点が挙げられます。
- クリックの分散
- 被リンク評価が、内部・外部ともに分散する
- 類似コンテンツとみなされ評価が下がる
- ロングテールの集客が減る
クリックの分散
検索結果一覧に自サイトのページが競合している状態では、ユーザーがどちらのページをクリックするかわかりません。
その結果、クリックの分散が起き、CTR(クリック率)が下がります。
そうなるとユーザー行動指標も各ページに分散されるため、検索順位の決定要因にネガティブにはたらきます。
被リンク評価が、内部・外部ともに分散する
サイトをより多くのユーザーに認知してもらうためには、被リンクの存在が重要です。
そのようななかリンクが分散されてしまうことで、本来得られたはずのリンクジュースが得られなくなってしまいます。
カニバリゼーションによって被リンク評価に影響が及ぶ可能性があるため、リンクの状況に関しては気づいた時点で解消しておくことが大切です。
類似コンテンツとみなされ評価が下がる
同一または類似したキーワードで作成されているコンテンツが複数存在する場合、両方のページがインデックスされ、検索結果に正しく反映されているのであれば重複ページ扱いはされません。
しかし、類似率が高すぎるときは両方のページの評価を下げようと、Googleのアルゴリズムが働く可能性が考えられます。
何が正解であるか断定することが難しいのが、SEOです。
同一または類似したキーワードやコンテンツでサイトの評価を下げないよう、カニバリを意識したサイトづくりを心がけたいです。
ユーザーの離脱率が上がる
SEO対策を行なう目的は、多くのユーザーに自サイトのコンテンツを詳しく閲覧してもらうことです。
しかし、似通ったページが散見することで、ページごとに記載されている内容が薄くなっているように感じます。
その結果ユーザーの満足度が下がり、自社の商品やサービスへ誘導することが難しくなるのです。
満足度が下がりサイトを離脱するユーザーが増えるような状態の場合、SEO対策にも大きな影響が出るでしょう。
ロングテールSEOでの集客が減る
長い目で見たとき、キーワードカニバリゼーションはロングテールSEOにも影響してきます。
競合が少ないニッチなキーワードで集客する施策をしたにも関わらず、競合が少ないが故にクリックの分散が起き、自サイト内でユーザーの奪い合いをしている状態になります。
1つのキーワードに対して1のコンテンツを作成していくという点を意識し続けることが大切です。
コンテンツの質にこだわっていくことで、ロングテールの効果の減少を防ぐことができます。
キーワードカニバリゼーションを見つける方法
キーワードカニバリゼーションは、気づかないうちに自サイトで起きていることが多いです。
そこで、自サイトの状況を把握するため、以下のようなツールを活用してキーワードカニバリゼーションの確認を行ないましょう。
site:検索する
『site:検索』で簡単にキーワードカニバリゼーションについて調査しておくと、その後Google Search Consoleで詳細を調べる際に役立てることができます。
site:検索は、Google検索のコマンドを使って簡単にできる方法です。
「site:example.comテキスト」とGoogleで検索することでカニバリの発生を確認することができます。
example.comの部分にはカニバリの確認を行ないたいドメインを、テキストの部分にはカニバリが発生していないか確かめたいキーワードを入力しましょう。
site:検索を利用すると、指定したドメインのすべてのページの記事に対して、テキスト検索をすることが可能です。
カニバリの疑いがあるページが見つかったら、先に紹介したGoogle Search Consoleでさらに詳しく調べてみましょう。
Google Search Console(グーグルサーチコンソール)を使用する
Googleの機能の一つであるGoogle Search Console(グーグルサーチコンソール)は、カニバリゼーションを特定する精度が優れているツールです。
URLやキーワード単位で確認をしていくことになるため、カニバリゼーションの疑いがあるという場合に利用するのがおすすめです。
Google Search Consoleの検索結果のパフォーマンス画面で、「カニバリを疑うキーワード」を指定するとカニバリの確認ができます。
複数のページが一覧となって表示された場合、カニバリが起きている可能性が高いです。
Ahrefs(エイチレフス)を使用する
有料ツールにはなりますが、Ahrefs(エイチレフス)を使ってカニバリの調査を行なうこともできます。
データをダウンロードして、事前に用意されているGoogleスプレッドシートのテンプレートに貼り付けるだけという簡単な方法で、カニバリの発生について調べることができます。
キーワードカニバリゼーションを一括で確認することができるのも特徴です。
赤文字で表示されている箇所が見つかったら、そのキーワードにおいてカニバリが発生しているということになります。
Ahrefs(エイチレフス)では公式ブログや動画にて具体的な使い方について紹介しているため、契約している人は参考にしてみてください。
【参考】Ahrefs
キーワードカニバリゼーションの対処法
キーワードカニバリゼーションは、SEOに様々な影響を与え、自サイトの発展を阻害している状態です。
ツールを利用してカニバリが発生していると判明した場合、迅速に対処していくことが必要です。
ここでは、キーワードカニバリゼーションにおける対処法について解説します。
ページ内にあるキーワードの調整
特定のキーワードがタイトルや見出しなどの部分において同一または似通っている場合、該当ページ内に含まれているキーワードを確認して、書き換えを試してみましょう。
タイトルや見出し、メタディスクリプションなどの箇所を中心にリライトを行ないます。
このとき、上位表示させたいページにキーワードを含めるよう意識し、上位表示させたくないページについてはキーワードの使用を避けると良いです。
カニバリが起こらないよう、ページごとにオリジナリティあふれた文面を考え、調整してみましょう。
ページの削除
自サイトのなかで上位表示させたいページがあるものの、その妨げになっているコンテンツがあることが明確になった場合は、該当ページの削除を検討していきます。
たとえば、以下のようなページを削除すべきです。
- ユーザーにとって価値のない低品質なコンテンツ
- 古い情報が載っているコンテンツ
- アクセスがほとんどなく、被リンクを受けていないコンテンツ
Googleは、ユーザーにとって価値のあるサイトを上位に表示させようとします。
ここから、ユーザーにとって有益でないコンテンツについては、サイトの評価を落とす原因になります。
そのようなページが自サイトの中に存在しないか、詳しく調べてみましょう。
コンテンツの整理を行なうとクロールの最適化につながり、SEO効果も期待できるようになります。
301リダイレクトを使ったページの統合
ページの内容が類似しているときは、1つのページに統合することも方法の一つです。
ページの統合を行なう際、すでに被リンクの獲得などをしているようであれば301リダイレクトを利用しましょう。
301リダイレクトとは、ウェブページを恒久的に移転先へと転送することができるシステムです。
カニバリゼーションを起こしている2つのサイトがある場合、転送先であるメインのページを指定しておくことで、サイトに訪れたユーザーは自動的に転送先へ送られます。
301リダイレクトを利用すると、転送先にページの評価を引き継ぐことが可能です。
今まで獲得してきた評価を失うことなく、さらに転送先のページをより発展させていくことができるのです。
【合わせて読みたい記事】
CanonicalタグでURLの正規化を行なう
自サイト内でカニバリゼーションが発生しているとわかったものの、類似サイトは残しておきたいというケースもあるでしょう。
そのようなときに便利なのが、Canonicalタグを使ったURLの正規化です。
検索エンジンに対して、評価してもらいたい正規のページURLを伝えることができるタグが、Canonicalタグです。
カニバリゼーションを起こしているページAとページBが存在しているとき、ページAを上位表示させたいとします。
このとき、ページBの<head>タグの中にrel=“canonical”と入力し、ページAのURLを指定しておきましょう。
Canonicalタグを設定しておくことで、Googleに正規のページを認識してもらえるようになります。
【合わせて読みたい記事】
内部リンクの最適化
上位表示させたくないページにある内部リンクを削除し、上位表示させたいページに内部リンクを集めるようにする方法があります。
Googleは、内部リンクの状況を確認してページの重要度を判断しています。
内部リンクが集まっているページほど重要なページとして認識されるため、最適化しておくとSEO効果も期待できるようになるのです。
内部リンクの最適化を行なう際は、アンカーテキストに注意しながら進めましょう。
上位表示させたいページのアンカーテキストにはキーワードを含めるようにします。
反対に、上位表示させたくないページのアンカーテキストについては、キーワードを取り除いておきましょう。
キーワードカニバリゼーションを解消して、自サイトを上位表示させよう
キーワードカニバリゼーションは、自サイトの評価を大きく下げてしまう要因となり、検索順位に影響を及ぼします。
価値あるページが正当に評価されない事態を回避するためにも、自サイト内でキーワードカニバリゼーションが発生していないか確認することが大切です。
キーワードカニバリゼーションが発生していると判明したときは、その原因を追究したうえで正しく対処していきましょう。
まずは専用のツールを使用して、自サイト内でカニバリゼーションが起きていないかという点をリサーチすることから始めてみてください。