マーケティングオートメーションとは、収益の向上を狙いマーケティング活動を行なうためのツールです。
顧客一人ひとりに対して必要な対策を取ることができ、お互いの関係をより良いものに変えていくことができます。
また、ウェブ上で自社のSEO対策にも役立てることが可能です。
その一方で、マーケティングオートメーションの効果を得るために押さえておきたいポイントもいくつかあります。
今回はマーケティングオートメーションとは何なのかという点から、それぞれの機能詳細について、また重要視されるようになった背景などについて詳しく解説します。
Contents
マーケティングオートメーションとは?
マーケティングオートメーションはMAと省略して呼ばれることもあり、マーケティング活動を自動化するためのツールとなっています。
顧客情報の収集や見込み客の育成、マーケティング施策などで構築されており、ツールを活用してこれらの作業を自動化することで効率よく施策を行なうことが可能です。
マーケティングオートメーションを構築している3つの点について、もう少し詳しく見てみましょう。
顧客情報の収集
マーケティングにおいては、顧客情報の収集から始めることが必要です。
ウェブマーケティングでは、消費者はサイトやSNSなど様々な情報に触れるなかで、自身にとって必要なものを選び、購入し生活しています。
より多様性に富み、一方で複雑になっているとも言えます。
ここから、顧客情報の収集を行ない、一人ひとりの満足度を高められるようにすることが大切なのです。
マーケティングオートメーションでは、最適なタイミングで顧客情報を収集し、データとして蓄積していきます。
見込み客の育成
顧客情報の収集・整理・データの蓄積が完了したら、次の見込み顧客の育成を行ないます。
より多くの人に自社の商品やサービスを知ってもらうため、新たな顧客を得る必要が出てきます。
見込み客が数人であれば地道な作業で対応が可能ですが、数百人・数千人と規模が大きくなると、その作業量は膨大なものになります。
そこで、マーケティングオートメーションを利用し、見込み客に対して必要な情報を提供し購入意欲を育て、商品・サービスの収益化を図ります。
マーケティング施策
マーケティングオートメーションを導入することで、メールの開封や自サイトに訪れた人の状態などを管理・把握できるようになります。
それらのデータを一括で管理することができるため、今後どのようなプロセスでマーケティング施策を行なっていけば良いのかという方向性も見えてきます。
自社のサイトにおいてSEO対策を行ないたいというときにも役立てることができます。
効率よく、また適切な方法で顧客を増やしていくために、マーケティングオートメーションを活用してマーケティング施策を行なうという仕組みです。
マーケティングオートメーションを導入するメリット
マーケティングオートメーションの概要が理解できたところで、導入するメリットにはどのような点が挙げられるのでしょうか?
ここでは、マーケティングオートメーションを導入するメリットについて考えていきます。
見込み客が資産になる
マーケティングオートメーションのメリットの一つ目として挙げられるのが、見込み客が資産になるという点です。
マーケティングオートメーションを利用すると、見込み客の情報を一括で整理でき、長きにわたってコミュニケーションを図ることができます。
ここから、会社にとって見込み客が大切な資産となるのです。
見込み客の購入意欲や思いなどは、日々変化しています。
そのなかで最適なタイミングでサービスを提供するため、見込み客情報は欠かせません。
自社の発展にとって、見込み客の情報はとても重要となるのです。
自社のブランド価値が高まる
マーケティングオートメーションによって見込み客と適切に対応できることから、自社のブランド価値を高めることも可能となります。
ツールのおかげで、人手では対応できない数の見込み客に対して、一人ひとりのニーズに合わせて情報を提供することができるようになります。
今まさに自身が求めていた情報を企業が見込み客に提供できることから、自社の知名度やブランド価値も高まり、企業としての発展が期待できるようになるのです。
その結果、自社のサイトが閲覧される機会も増え、SEO効果も期待できます。
新たな案件の獲得につなげることができる
マーケティングオートメーションを利用して見込み客の情報を正確にまとめることで、新たな案件獲得にもつながります。
メールの配信などにより関心を持ったユーザーの状況がわかるようになり、的確にアプローチすることができます。
その結果、案件や商談の獲得につなげることができるのです。
見込み客との継続的なコミュニケーション、営業のタイミングも見えてくるため、マーケティングオートメーションにより自社を効率よくアピールすることができます。
営業活動が効率的になる
営業担当の人がより効率よく行動できるようになるという点も、マーケティングオートメーションのメリットとして挙げられます。
営業では多くの時間を費やし、顧客を得るというのが従来の流れではありますが、マーケティングオートメーションを導入すると見込み顧客とのコミュニケーションがより効率よくウェブ上にてできるようになります。
メールのやり取りなどにて商談の可能性が高まったときにはじめて、営業が対応していくという形をとることが可能です。
ここから、営業活動が効率化され、見込み客の獲得にもつなげることができるのです。
マーケティング施策が楽になり効果もわかる
マーケティング活動というと、いくつかのツールを活用し、それぞれの機能を高めていくという方法を取ってきた会社も多いことでしょう。
しかし、マーケティングオートメーションを導入すると、それらのマーケティング活動を一括して行なうことができるようになります。
いくつかのツールを使い分ける必要がなくなりデータも一括でまとめられるため、一人ひとりにとって使いやすくなるというメリットが挙げられます。
マーケティングオートメーションによりマーケティング施策が効率よく行なえるようになることから、受注率のアップや消費者の購入意欲の上昇などの効果も証明できるようになります。
施策によってどのような効果が現れたかがわかることで、次に取るべき施策についても見えてきます。
マーケティングオートメーションの機能について
マーケティングオートメーションを正しく理解し自社に適用していくことで、より自社の反映を目指すことが可能です。
マーケティングオートメーションは、国内外の様々な企業から提供されており、自社の業務効率化を図るために役立てることができます。
ここでは、さらに詳しくマーケティングオートメーションの機能について解説していきます。機能の詳細を理解し、適切に利用していきましょう。
リード管理機能
自社サイト、ランディングページ、メールなどから得た見込み客の情報を一括で管理できる機能がリード管理機能です。
名刺に記載される企業名や氏名、役職をはじめ、職業や性別、年齢などの細かな情報を自由に設定し顧客属性を管理できるというシステムです。
見込み客には、名刺をもとに情報を整理できる顧客と、サイトに訪れる匿名の顧客とが含まれます。
匿名の見込み客に関しては、Cookieの取得により継続的にトラッキングすることが可能です。
自社のサービスに以前から関心を持っている見込み顧客についての情報も適切に管理を行なうことで、自社の収益化につなげることができるのです。
スコアリング機能
見込み客一人ひとりの行動に関して、スコアをつけるというのがスコアリング機能になります。
スコアリング機能を活用すると、見込み客がどの程度自社に関心を持っているかを数値化されたデータとして表示することが可能です。
スコアの設定では、自社サイトを訪れることで+2点、資料請求で+10点などと分けることができます。
その後、累積した点数から関心度のステージを設定することができます。
このスコアリング機能によって、自社に関心を持っている見込み客に対して適切なタイミングで積極的にアプローチすることが可能となります。
キャンペーン管理機能
スコアリング機能のもと、一定数のスコアをクリアした見込み客に対して自社のキャンペーン情報を自動的に送付するといったものがキャンペーン管理機能になります。
属性や見込み客の行動などから条件を細かく設定し、一人ひとりに合ったアクションを設定することが可能です。
メールマーケティング機能
メールマーケティングを管理する機能になり、リード管理機能による属性をもとにメールの配信リストを作成していきます。
イベントについて、また商品やサービスについてより深く知ってもらうなどの目的のもと、メールを配信していく機能です。
属性に合わせてメールの内容や送信するタイミングなどを設定できるため、見込み客一人ひとりに対してリアルタイムで自社についてアピールすることができます。
メールマーケティング機能では、開封率やクリック率なども確認でき、メールマーケティングの精度も高めることが可能です。
社内のアラート機能
見込み客がメールを開封したり自社サイトを訪れた際に、営業担当にアラートを送るという機能になります。
メールで知らせるだけでなく、チャットワークなどのツールにアラートを送信できるマーケティングオートメーションもあるので、導入する際に確認しておくと安心です。
社内のアラート機能では、見込み客の状況をリアルタイムで知らせることができるため、適切なタイミングで見込み客にアプローチすることが可能となります。
ランディングページ、フォームの作成などを支援する機能
マーケティングオートメーションでは、ランディングページやフォームの作成を助けてくれる機能も備わっています。見込み客の状況をもとにわずかな修正を行なう必要が出てきたとき、エンジニアやウェブデザイナーに依頼するよりも自社で対応した方が早く完成させることができます。また、コストの面においても満足できるでしょう。
ここから、マーケティングオートメーションのなかには簡単なランディングページやフォームを作成する機能を備えたものもあるのです。
自社サイトのパーソナライズ機能
ウェブサイト上で表示させるコンテンツや広告に関して、ユーザーの関心に合わせて使い分けるというのが、自社サイトのパーソナライズ機能になります。
自社サイト上だけでなく、メールにおいても一貫して情報を統一することができ、ユーザーが商品やサービスについてより真剣に考える機会を与える役割があります。
マーケティングオートメーションによって機能が異なるなか、自社サイトのパーソナライズ機能が備わっているものを選ぶと、効率よくまた的確にユーザーに自社のアピールが可能となるのです。
CRM・SFA統合機能
CRMツール、SFAツールを統合する機能であり、それぞれの機能をマーケティングオートメーションを使って管理することができます。
CRMツールとは顧客情報の管理や活用にて、収益化を目指す方法です。
SFAツールは、営業が商談開始から契約に至るまでの進捗状況をまとめ管理するという内容のものです。
社内の部署によってそれぞれ異なるこれらのツールを使っているとき、マーケティングオートメーションツールを導入することで全員がデータを共有することができます。
同時にマーケティング施策も対応できることから、より自社の発展を目指すことも可能となります。
マーケティングオートメーションによって機能が異なるため、いくつかを比較しながら自社に適したものを選ぶことが大切です。
API機能
マーケティングオートメーションと他社のプログラムをAPIによって連携させるのが、API機能です。
APIが搭載されているマーケティングオートメーションを選ぶことで、他社のソフトウェアと連携を行ない、機能の追加や情報の共有が可能となります。
レポーティング機能
マーケティングオートメーションにはレポーティング機能も備わっており、マーケティング施策による結果をレポートにしてまとめることができます。
機能が充実しているマーケティングオートメーションでは、より細かくレポートしてくれるため、自社が行なうべき次の施策も見えてきます。
レポーティング機能では、具体的に以下のような内容をレポートすることができます。
- メールの開封率やクリック率
- ランディングページのコンバージョン率
- マーケティング施策ごとの獲得リード数
- 商談への貢献度
レポーティング機能を活用すると、自社に不足しているもの、改善すべき点なども見えてくるため、より精度の高い施策を行なうことができるようになります。
マーケティングオートメーションが重要視されるようになった背景
マーケティングオートメーションは、日本において年々注目されるようになっています。
では、注目される背景にはどのようなものがあるのでしょうか?
顧客が様々な方法で情報を得られるようになっている
顧客が企業の商品やサービスを知る手段というと、テレビCMやカタログ、雑誌などが一般的でした。
それらの情報をもとに実際に店舗に訪れ、納得できたものを購入するという流れで商品が選ばれていました。
しかし、現在はインターネットが普及し、スマートフォンを持つ人が多くなったことから、より気軽に商品やサービスの詳細について調べられるようになっています。
SNSの影響も大きく、話題になった商品は大きく注目されます。
そのようななか、様々な情報が飛び交う関係で、ユーザーにとって関心のないものも含まれているでしょう。
ユーザーは、興味のない情報に関してはシャットアウトしてしまいます。
このような背景から、企業は自社の商品などを見込み顧客に届けるため、適切にウェブ上での施策を行なう必要が出てきました。
その際に活用できるのが、マーケティングオートメーションなのです。
顧客が求める情報が変化している
消費者は、気になる商品に関してインターネットで検索し、公式サイトだけでなくレビューサイトや比較サイト、動画やSNSの口コミなども参考にしながら購入を検討していきます。
商品を購入する前に事前に下調べを行なう人の数は増えており、類似した商品と比較している可能性も考えられます。
また、多くの消費者において、価格よりも体験を重視しているということも明らかになっています。
ここから、自身にとって必要な情報を適切なタイミングで受け取り、購入の際に役立てたいと考えています。
このような背景から、マーケティングオートメーションによって消費者とのコミュニケーションを図ることが重要となり、自社の信頼度を高めることにもつながるのです。
時代に応じて消費者のニーズに応えていくことが重要
現在では数多くのマーケティングオートメーションが開発され、多くの企業に選ばれています。
少ない人数の見込み客に対してはきめ細かな対応ができますが、人数が多くなると一人ずつに丁寧に対応していくことが難しいです。
また、見込み客それぞれに対して、適したタイミングで自社をアピールすることも大切なこととなります。
このような流れのなか、マーケティングオートメーションがますます注目されています。
消費者のニーズに合わせて効率よく対応できるという機能を備えているため、今の時代に合ったアプローチができるのです。
自社に合うマーケティングオートメーションの選定方法
マーケティングオートメーションは、正しく使いこなすことで自社の発展につなげていくことができます。
マーケティングオートメーションの重要性やメリットなどを理解すると同時に、ツールの選定方法についても軽く触れておきましょう。
以下の点に注意しながらツールを比較していくと、自社に合うものを見つけることができます。
- BtoB向けか、BtoC向けか
- 自社のリソースに合っているか
- サポートの充実度
- 自社と同じ業種・業界の企業が導入しているか
上記の点を踏まえつつ、自社にとって必要な機能が備わっているマーケティングオートメーションを選ぶことが大切です。
マーケティングオートメーションの導入から運用までの大まかな流れ
マーケティングオートメーションを利用し見込み客へのアピールなどを続けていくなかで、自社の発展が期待できるようになります。
新たな案件や商談に結び付くこともあるでしょう。そのような便利なマーケティングオートメーションですが、実際に導入から運用までの流れはご存知でしょうか?
ここでは、マーケティングオートメーションの導入から運用までの、大まかな流れをご紹介します。
自社における課題を見つける
最初に、自社においてどのような課題があるのかを洗い出していきます。
課題を解決するために、どのような機能が備わっているマーケティングオートメーションが良いのかを見極めていきます。
マーケティングオートメーションが必要かどうか、今活用しているツールとの比較などを行ない、自社の課題を無事解決できる可能性のあるツールを選ぶことが大切です。
自社の収益プロセスを整理する
自社における課題が見つかったら、次に自社の収益プロセスについて整理をしてみましょう。
収益プロセスを見直し、どのような流れで対策を取っていくべきか考えていきます。
そのなかで、マーケティングオートメーションを導入することによって起きる変化についても踏まえた上でプロセスを構築していきます。
自社の収益プロセスを正しく理解することで、自社に合うマーケティングオートメーションを見つけることができ、他部署との連携などもうまく取れるようになるでしょう。
マーケティングオートメーションツールの選定
続いて、マーケティングオートメーションツールの選定に移ります。
ツールごとに特徴や機能を比較し、自社にとって必要な機能を持つツールを選ぶのがポイントです。
このとき、ツールの機能だけに注目するのではなく、自社がこれから挑戦していきたいことと照らし合わせ、実現するために必要なツールであるかを判断することが重要です。
さらに、ツールのサポート体制が充実しているかも確認しておきたい点です。
初めてマーケティングに取り組む企業にとっては、サポートがあることで操作で分からないことも安心して尋ねることができます。
サポートがない場合は、一から調べて理解する必要があるため、時間と労力がかかるばかりとなります。
そのうえで、価格面において納得のできるマーケティングオートメーションを選ぶようにします。
月額料金で支払うタイプのマーケティングオートメーションが多いため、月々の会社の負担額を考慮した上で厳選していきましょう。
継続して利用することで効果が期待できるツールであるため、無駄なコストになってしまわないよう注意することが大事です。
各種設計、フローの構築
自社に合うマーケティングオートメーションが見つかったら、さっそく導入し、各種設計を行なっていきます。
ペルソナの設定や提供するコンテンツの内容などを設計していきます。
どのようにマーケティングを進めていくかというシナリオをきちんと設計しておくことで、無駄なく自社の発展を目指すことができます。
他部署と連携する
マーケティングオートメーションは、専門の部門が運用をするだけでは効果が期待できません。
マーケティング専門部署と営業部門に関しては連携を図っておくことが大切です。
お互いが分担する作業内容について、情報の共有や効果の検証などについて、日ごろから連携を取りともに活動していくことが大切なのです。
マーケティングオートメーションのデメリット
先述した通り、マーケティングオートメーションには企業にとって便利な機能が備わっていることからメリットが多く挙げられます。
しかしその一方で、デメリットも0ではありません。
メリットだけでなくデメリットも理解し、自社に合うマーケティングオートメーションを見つけてみましょう。
ノウハウや構築体制が必要になる
マーケティングオートメーションを適切に使いこなすためには、ノウハウが必要となります。
マーケティングや専用ツールに強い従業員が在籍している場合は安心ですが、未経験者が多い場合は知識を得る必要が出てきます。
自動化という言葉から簡単に導入ができるように思ってしまいがちですが、然るべき方向性に向かって的確に進めなければならないため、専門知識が必要となるのです。
また、マーケティングオートメーションには様々な種類があり、自社に合うものも異なります。
価格帯も幅広く、備わっている機能の豊富さ、シンプルさなども変わってきます。
それと同時に、マーケティングオートメーションを使いこなすための知識と技術、人員の確保などが欠かせません。
企業によっては、新たに人員を募集したり、外部に頼ることも視野に入れなければならない場合があります。
どのように構築体制を整えるかが大きな課題となり、時間も必要となるのです。
見込み客の十分な情報リストが必要
見込み客のリスト一覧が十分にない場合、メールの配信や選別などを行なうことができません。
そこでまず、十分なリストを収集することから始める必要があります。
ここから、マーケティングオートメーションを導入し、すぐに効果が現れるというものではないこともわかるでしょう。
ツールを導入すると企業のアピールが便利になりますが、効果が期待できるまでには時間と労力がかかることも忘れてはなりません。
導入のメリット・社内への適応性などを踏まえ、自社に合うマーケティングオートメーションを導入しよう
マーケティングオートメーションを導入すると、自社をより多くの見込み客に認知してもらうことができ、様々な方法をもって注目度を高めることができます。
同時に、作業の効率化が可能となり、今まで以上のあらゆる方面から自社をアピールすることができるようになります。
マーケティングオートメーションを導入することで得られるメリット・デメリットも理解した上で、どのツールが自社に必要かどうかじっくり検討してみましょう。